短編集『秋が降る』

悪いニュースはもうひとつ。

「飯野さん」

自分の名前が呼ばれたことに気づいて、私はあたりを見回した。

男性のスカイがニヤニヤ笑いながら近づいてきているところだった。

「お久しぶりですね、飯野さん」

「・・・え?」
薬の影響か、視力がおちている。

いまいち顔がはっきりとわからない。

「やだなぁ。あんなことしておいて、もう忘れてるんですかぁ」

「あ・・・」

ようやく顔を認識した私の腕に鳥肌がたつ。
私を無理やり車に押し込んだスカイだったからだ。

「ハルさん。あなたのせいで謹慎くらっちゃってましたよ。ようやく復活しましたけどね」