短編集『秋が降る』

それから数日は、自分の体力を戻すことに費やした。

あまりゆっくりと寝るよりも、部屋でひそかに花瓶を持ち上げたりして力をつけた。

しかし、予想外の出来事が起きる。

それはある日の朝食の前の出来事だった。

ソファで時間になるまで待っている私に、スカイの女性がやってきて言った。

「今日から食事前に注射を打つことになりました」

「え?」

「決まったことです」

有無を言わさずに私のシャツをめくる。

「やめてください!」
抵抗しようとする私に、スカイは感情のない声で、
「大きな声を出さない」
と冷淡に告げた。