短編集『秋が降る』

「カナさん・・・」

絞り出すように声にだす。

カナさんは・・・死んでしまったんだ・・・。

なんとなく分かってはいたけれど、目の当りにするとさすがにショックが大きい。

なんとか取り乱すこともせず、私はテーブルに腰かけた。
久しぶりに見る佐藤さんが、なぜか私を見ている。

「・・・なによ」
そのまままっすぐに見つめ返す。

男の口元が少し動いたような気がした。

あたりを見回す。

スカイはいない。

私はなるべく自然に佐藤さんのそばの椅子へ移動する。

彼はさっきよりも大きく口を動かす。