短編集『秋が降る』

あ・・・。

新しいお母さんが、あの日私に言った言葉。

出て行けばいいと思っているんでしょう、という私の問いに、
『どうして(知っているの?)』
確かそう言った・・・。

まさか・・・。

頭の中を考えがグルグルうごめく。

「・・・わかったでしょう? だから親は探しに来ないのよ」

頭をトンカチで殴られたかのような衝撃。


・・・私は、親に捨てられた・・・の?


不思議と涙はでなかった。

現実味がなく、夢のような気持ちだったから。