短編集『秋が降る』

「そう。じゃ、腕出してみて」

その言葉にスカイが私の腕を持つと、脱脂綿ですばやく腕を拭いた。

「な、なにを・・・」

「なにって、血を検査するからね」

「え・・・」
つぶやく間にも、杉浦は注射器のようなものを取り出すと、私の腕の血管を狙って素早く刺した。

思わず逃げようとする腕は、スカイによって押さえられている。

これも・・・逆らっちゃいけない。

そう、チャンスはある。
カナさんの言っていた言葉を必死で頭で繰り返し考えながら、短く長い時間を耐えた。

杉浦は採った血を満足そうに光に透かして見ると、またひげを揺らせて微笑んだ。

歯をくいしばって耐える。