短編集『秋が降る』

「診察?」

「ここに来た人は私がたまに診察しているんだよ」

そう言われてはじめて、私は彼が白衣を着ているのに気付いた。
胸に『杉浦』というプレートがついている。

「薬が効いているかどうかを調べるんですか?」
しまった、と思ったときにはもう声に出ていた。

しかし、杉浦という医者は、
「そう。そのとおりだよ」
と、悪びれた様子もなく微笑んだ。

「・・・眠くて仕方ないです」
なぜか素直にそう言っていた。

「うん。そうだろうね」
なにかメモをしながら杉浦先生は言うと、顔を上げて、
「気持ち悪さはある?」
と尋ねた。

さっき吐いたことを言うべきが一瞬迷ったが、私は首を横にふった。

「いいえ」