短編集『秋が降る』

高校を出たら働いて一人で暮らす、という私をお父さんはたった一言、
「みっともない」
で終わらせた。

新しい母親にうつつを抜かすほうがよっぽどみっともないと思ったけれど、私には何も言えなかった。


「お見合いするんだって」

勇気をふりしぼって恋人にそう言った時、彼はさみしそうに笑った。

そして、言った。

「そうか」

と、短くひとことだけ。

それでも、昨日までは残り少ない時間を変わらず過ごせていた。