短編集『秋が降る』

そう言ってみるが、佐藤さんはあいかわらず宙を見つめたままだった。

しばらくそばで見ていたが、こんなところをスカイに見られてはまずい。

私は自分の部屋に戻ると洗面台で口をすすいだ。

そのうち、お腹からわきあがるような感覚がやってきて、やがてそれは吐き気に変わった。
倒れるように便器にしゃがむと思いっきり嘔吐する。

吐きながらも涙がいく線も流れ落ちた。

最後のほうには吐くものもなくなり、胃酸のすっぱさが口にひろがった。


それでも、泣きつづけるしかできなかった。

再び洗面台で口をすすいでいると、頭がぼんやりとしてくるのがわかった。

___眠気。