短編集『秋が降る』

「いえ、大丈夫です。いただきます」
そう言って、オムレツを箸で切ってみせると口に入れる。

バターの匂いにすぐに吐き出しそうになるが、無理やり口を動かすと飲み込む。

「ならいいけど」
そう言ってスカイは、もうひとりのスカイと目配せをしてから他のテーブルを回り出した。

体全身で息を吐いた。

知らずに息を止めていたみたい。

___目立ってはだめ。

できるかぎりつめこんでお茶で流しこむ。
そして、それを繰り返しおこなう。

助けて。助けて!



心が悲鳴をあげている。