短編集『秋が降る』

「食べなきゃ」
カナさんの声にも、体が震えだして涙がこぼれそうになる。

「飯野さん」

ふと、頭上から声がふってきた。
体がビクンッと跳ね、そっちを見ると、疲れた顔のスカイがいぶかしげな顔で私を見ていた。

「あなた、今日から来た飯野さんでしょ?」

「あ、はい・・・」

怖いのに目が離せない。
何度も何度もうなずく。

「食欲、ないの?」

スカイは不機嫌な顔になっているようにも見えるし、心配しているようにも見える表情だった。
私の減っていないお盆を見ている。