短編集『秋が降る』

「もうすぐ昼食の時間になるわ。リビングに集まらないと」
カナさんがひとりごとのようにつぶやいて立ち上がった。

もうそんな時間?

何時間くらい気を失っていたんだろう?

つられて私も立ち上がるが、怖さが足を動かさない。

そんな私の様子を知ってか、
「行かなきゃだめ」
と、カナさんが振り向く。

「でも」

「生きるのよ」

まっすぐに私を見た。

「・・・」

「きっとチャンスはあるから。今は流れに身をまかせるの。生きてここから出て、そして会いたい人のもとへ行くのよ」