短編集『秋が降る』

「私もはじめはそうだった。自分に起きたことが信じられなかった」
さみしそうな声のカナさんに、はっと顔を上げる。

「カナさんも、同じように?」

「うん。もう何年前かも忘れちゃった。幸い私はおとなしく従っているから、弱い薬でなんとか生かされているようだけど・・・。逆らう人には強い薬が試されるの」

カナさんの言っていることは本当なの?
でも、たしかに喉の渇きは尋常じゃないくらい。

薬の影響だというのもうなずける気が・・・。

「ひょっとしてこの部屋の前の住人って人も・・・?」

「ええ」
厳しい表情をしたカナさんはうなずくと、言葉を続けた。
「もう、何人もの人たちがここに来ては、苦しんで亡くなっていった。だから、絶対に逆らっちゃだめ。おとなしくしていれば、スカイに気に入られるから」