短編集『秋が降る』

「は・・・」
笑ってみようとするが、乾いた声しかでない。

「おそらく新薬の実験ね。今、頭が痛いって言ったでしょう? 喉も乾く、と。おそらくすでに投薬がはじまってると考えた方
がいいわ」

「まさか」
その言葉も、カナさんの真剣な表情を見てすぐに飲み込む。

「とにかく、もうどうしようもないの。あなたは人体実験の被験者として選ばれたのよ。泣いてもわめいても、ここからは出られないわ。監視役の目が光っているからね」
そう言ってカナさんはドアの向こうを指さした。

「ちょ・・・ちょっと待ってください。私、なんだかよくわからない」
頭を両手でかかえながら、うめくような声が出た。

なんだかわけが分からなくて、現実に起きてることとは思えない。