短編集『秋が降る』

「あ、はい。よろしくおねがい・・・」
最後はモゾモゾと口ごもりながらの挨拶。

小澤カナさんは、そんな私をしばらく目を細めて見ていたが、ふっと思い出したかのように指を2本目の前に出した。

「ねぇ、タバコある?」

タバコを持つしぐさなのだろう。

「あの、私、まだ高校生ですよ? ・・・でも、この部屋の人が吸うのならあるのかも」

部屋を見回してみたが、タンス以外の物入れはなさそうだ。

カナさんは目をまんまると見開いて私を見ていたが、
「飯野ハルさんだっけ? ハル、でいいわね。ねぇハル、ここがあなたの部屋なのよ」
と、笑った。