短編集『秋が降る』

おそるおそる近づき、隣に座った。
頭痛がまた来て、思わず顔をしかめる。

「頭、痛いでしょう?」

「あ・・・」

「みんなそうよ、薬飲まされちゃうんだもん」

「え・・・?」

彼女は、ふぅ、っと笑いながらため息をつく。

「あなた、さっきから“あ”とか“え”しか言ってないわよ」

「・・・すみません」
そんなこと言われても、と思いながらもあやまる。

「名前は?」
彼女は笑顔のまま尋ねる。

「飯野、飯野ハルです」

「そう、私は小澤カナっていうの。よろしくね」