短編集『秋が降る』

「あ、あの・・・」

ドキドキしながらも体勢を立て直した私は相手を見る。
髪の短い女性だった。

「あの、ここは・・・?」
そう言いかける私に、
「シーッ」
と彼女は自分の口にひとさし指をあてて言った。

部屋の中にすべりこむようにして入ってくる。

珍しそうに部屋を見渡すと、思い出したかのように、
「あ、ドア閉めてくれる?」
と振り返って言った。

あわててドアを閉めて彼女を見ると、私がさっきまで寝ていたベッドに腰をおろして足を組んだところだった。

どうしてよいのかわからずに立ち尽くしていると、彼女が微笑んだ。

「座ったら?」
そう言って、自分の左側の敷マットをポンポンとたたいた。