短編集『秋が降る』

どんどん体が軽くなってゆく。
このままだと風船のように飛んでいっちゃいそう。

ひょっとしたら人は死んだら宇宙に行くのかもしれない。

「・・・わかった。約束する」
その言葉を聞いたとたん、また体が軽くなった感覚。

「ありがとう、拓斗」

ふあっと体が宙に舞い上がった。
もうほとんど体は消えている。

「彩花っ」
拓斗が驚いて立ち上がる。

私の手をつかもうとするけれど、それはすり抜けるわけで。

「拓斗、先に行くね」

「彩花! 彩花!」

体は宙を漂い、空に昇ってゆく。

不思議と心は軽く、落ち着いていた。