短編集『秋が降る』

私がはじめて本気で愛した恋人。

彼を好きになって本当によかったと思う。

「最後に会えてよかった。拓斗、私がいなくなってもしばらくは悲しんでね。でも、ちゃんと元気になって。そして、いつか必ず幸せになってね」

「なに言ってるんだよ」

「約束して。必ずいつか、幸せになるって」

「しない」
そう言うと、拓斗はふてくされた顔をした。

・・・こんなに泣いて。

私のことを思ってくれていることが分かっただけで幸せだった。

「してくれなきゃ、いつまでもこの世に縛られそう。だから、約束してよ」
子供をなぐさめるように私は言う。

もう時間がないのがわかる。