短編集『秋が降る』

「やだ・・・。いやだよう。こんなふうにお別れなんて」

「俺も! 俺もだよ。なんで、こんなっ」

それからしばらく私たちは泣いた。

泣いても泣いても涙は止まらなくて、触れたくてももう拓斗には触れられなかった。

こんなにそばにいるのに。

こんなに好きなのに。

もう二度と触れることができない。

自分がもうこの世にいないなんて。
拓斗だけじゃなく、友達やお母さん、そしてお父さんにも会いたかった。

どうして?
どうして、こんなことに?

朝陽が町の向こうから徐々に顔を出す。

それとともに、どんどん私の体は薄くなってゆくようだった。

寒くて体が震える。