短編集『秋が降る』

「うそ・・・」

ようやく拓斗の言いたいことが少しずつ理解できてきた。
「車に跳ねられたのは・・・私・・・なの?」

あの時の光景。

飛び出して来た人を車が跳ねた。

それを見ていた私。


・・・違うの?


そうじゃなかったの?

目の前が暗くなり、めまいがまた襲った。

顔を上げると、そこには暗い歩道を歩く私。

これは・・・昨夜見た光景?