短編集『秋が降る』

10月の朝は寒い。

特に今朝はいつもよりかなり寒いらしい。

ぼんやりと目を開けると、まだ薄暗い部屋。
時計を見ると4時をすぎたところ。

「・・・?」
隣に拓斗がいない。

トイレでも行ったのかな?

あまりにも眠いので再び目を閉じる。

気持ちいいくらいの眠気。
その海にただよいながらも、拓斗が戻ってこないことが気になる。

目をゆっくり開くと、そのまま周りを見渡す。

窓辺に座った拓斗が、じーっとこっちを見ている。

「ぶ」
思わず声が出た。

「あ、起きた?」