短編集『秋が降る』

ラブホテルでエッチを数回はしているから、別にそれ以上の経験はあるわけだけど、今日はほんとに何もしないらしい。

拓斗の胸に顔をうずめるようにすると、リモコンで部屋の電気が消された。

「・・・ほんとに家に電話してくれたんだよね?」

「しつこい。俺、ウソつかない」

「ふ。なんだかよくわかんない」

「そういうのもいいだろ。な、彩花? 俺のこと好きか?」

「しつこい。何度も聞かない」

「チェッ・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・拓斗、好きだよ」

「俺も、彩花のこと好き」


深い眠りが体に舞い降りた。