短編集『秋が降る』

「だいぶ待ったりした?」

「わかんない。なんか寝ちゃったし」

「・・・そっか」
そう言いながら拓斗は横に座った。

なんだか、いつもと様子が違う。

ひしひしと感じる別れの予感。
マイナス思考の頭には、全部が悪い前兆に思えちゃう。

「今日さ・・・バイトだったの?」
おそるおそる聞いてみる。

どんな反応をするんだろう。

「え?」
きょとんとした拓斗。
次の瞬間には、
「あ、ああ。急に頼まれちゃって」
と言ってアハハと笑った。

・・・目が泳いでますけど?