短編集『秋が降る』

久しぶりにあがる拓斗の部屋は、思ったよりもキレイに片付いてる。
あれ・・・窓辺にサボテンなんてあったっけ?

ああ、だめだ。

全部が「新しい彼女ができた説」前提で考えちゃう。

「座れよ」
メットを棚の上に置いて、拓斗は言う。

「うん」

窓辺の小さいテーブルに座る。

拓斗はスマホをさわりながら、
「今日さ・・・遅くなってさ」
と言う。

「うん」
私はそちらをなぜか見ないようにして答える。

拓斗は黙ってスマホをいじくってる。

・・・誰にメールしてるの?

聞きたいけど聞けない。