短編集『秋が降る』

「困ったな・・・」

とりあえずドアの前に座ってみる。

今日はバイトじゃないはずだけど、サークル活動でもあるのかな。

よく考えたら、彼がなんのサークルに所属しているかも知らない。

会うといつも私の話ばっかりしていて、彼がどんな日々を過ごしているかなんてあまり聞いてなかった。

足を投げ出した格好で空を見上げる。

10月になって急に涼しくなった。
私は学校がはじまってしまったけれど、拓斗はあまり後期の授業を取っていないらしくバイトばっかりしてる。

「大学生っていいね」
と言うと、拓斗は笑っていたっけ・・・。