シオンズアイズ

「敵も私だけだと、油断するわ」

香は、ファルをじっと見つめた。

「大丈夫よ。取り敢えず、居場所を突き止める。作戦はそれからよ」

ファルは頷いた。

それから香の肩を掴んで引き寄せると、力強く言った。

「分かった。任せた。誰かが接触してきたら、必ず合言葉を確認しろ。合言葉は、『ピアス』だ」

「ピアス?」

香はファルの眼を見た。

ファルは決まり悪そうに横を向いた。

「ピアスなら、確実だろ」

この時代に、ピアスと言う言葉はない。

香はクスッと笑った。

「笑うな」

「案外、可愛いんだね」

「なっ、かっ、黙れ!」

男らしい眉を寄せて、ファルは香を睨んだ。

それから、ふと真顔になり、真剣な表情で言った。

「死ぬなよ。生きて帰れ」