シオンズアイズ

もしも王子ファルを捕らえたなら、恐らくそのような者に用はないだろう。

独りになった部屋でアイーダは思案した。

七色の瞳の乙女…シオンが今、ここにいるということは。

アイーダは、ニヤリと笑った。

今のうちにここを抜け出し、ファルに近づいて、こちらを振り向かすのだ。

最初はシオンを忘れられなくとも、片時も離れずそばにいて、その身を慰め恋の情念を見せつけていれば、いずれは自分に心を開き、愛してくれるはずある。

ファルは若く、身も心も健康な男である。

いくらシオンを好きだとしても、身近な女の悩ましい身体をなんとも思わないはずがない。

アイーダは、自分の身体を見下ろした。

男心を揺らすだけの魅力はじゅうぶんにある。

傍らで攻め続ければ、いつかは落ちるはずである。

アイーダは静かに立ち上がると、寝台から抜け出した。