シオンズアイズ

「お、起きてたの」

やだ、ギュウッてしたのが、バレてたんだ。

シオンは赤くなって俯いた。

ファルは金色の瞳に柔らかな光を浮かべて、シオンを見た。

「こっち向け」

シオンはちょっと顔をあげてファルを見た。

通った鼻筋と男らしく意思の強そうな口元。

その時、頬に手を添えられ、上を向かされて視線がぶつかる。

「もっと上向けって。じゃないと」

そこで一旦言葉を切り、ファルは綺麗な瞳を僅かに細めた。

「口づけできない」

少しだけ荒っぽい仕草とは裏腹な、優しいキスに、シオンはドキドキして眼を閉じた。

優しくて、それでいて強引なキス。

シオンは思った。

この人が、好きだ。

やがてファルはゆっくりと唇を離し、低い声で言った。

「こうしていたいのは山々だが、そろそろ行くぞ。
朝飯を食ったらリアラへ戻る」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇