シオンズアイズ

香は、怪我してるらしいし、そのせいで力が弱まっているのかも知れない。

香に、会いたい…。

シオンは心細くなり、ファルにギュウッとしがみついた。

ファルは、早くから目を覚ましていた。

自分が動くとシオンが目覚め、このまま腕の中に抱いていられなくなると思い、そのまま目を閉じていた。

僅かに眼を開けてシオンを見ると、潤んだ瞳に不安の色を浮かべ、自分に強くしがみついてきた。

ファルはドキリとし、胸の辺りがフワリと浮くような気がした。

こんな気持ちは初めてだ。

可愛い。

愛しくてたまらない。

俺のものにしたい。

ファルはシオンを抱く腕に力を込めた。

「もっとくっつけ、俺に」

シオンは驚いてファルを見上げた。