シオンズアイズ

シオンは引っ張られながらも慌てて国王ダグダに一礼すると、またしても転びそうになりながらファルの後を走るように追いかけた。

「ファル、転んじゃうよ、待って」

階段の手前でようやく足を止めると、ファルはシオンを振り返った。

「抱いてやろうか?」

ドキッとしたけれど、シオンはそれを知られたくなくて、早口で答えた。

「いいよ、自分で降りられるから」

そんなシオンを見て、ファルはクスリと笑った。

「言っておくが」

ファルは小さく咳払いをして、空を見つめた。

「あまり長く待たせるな。俺はそんなに気の長い方じゃない」

シオンは、まっすぐ前を見ているファルの横顔を見つめながら涙を拭いた。