シオンズアイズ

シオンに触れたくてたまらず、つい彼女の全身の傷を忘れていた。

この状況を落ち着いて考えると、シオンは無性に恥ずかしくなり、ファルのかたい胸に抱かれながら俯いた。

は、恥ずかしいんだけどっ……!

普通は、恥ずかしいでしょ!

「……どうした?」

ファルが心配そうにシオンを覗き込む。

「私、恥ずかしい。こんな経験はないし、こんな気持ちも初めてで……」

最初、怖いだけであったファルの存在が、今は一人の男性として意識してしまい、ドキドキする。

そんなシオンを見て、ファルはクスリと笑った。

「こんな気持ちとは、どんな気持ちだ?」

吸い込まれそうなほど綺麗な黄金の瞳が、誘うようにこっちを見ている。

多分、そうだ。

わ、私、多分この人が、ファルが……。

シオンは、恋に落ちたと気付いた。

ファルは、シオンを運命の相手だと思った。