シオンズアイズ

言わなきゃ、答えなきゃ。

こんなに大勢の前で、自分への想いをしっかりと言葉にして告げてくれたファルに、私もしっかりと応えたい。

口元を覆っていた両手を胸の前で組み直し、シオンはコクンと頷いた。

「はい……よろしくお願いします」

声が震えて涙が溢れて、どうしようもなかった。

瞬く間に、割れんばかりの拍手喝采が空気を震わせる。

「おめでとうございます!」

「ファル王子、ばんざーい!」

「シオン様ー!!」

囃し立てるような口笛と拍手、祝いの言葉が飛び交い騒然とする中、ファルは立ち上がるとシオンを見つめた。

腕を伸ばしてシオンの手を掴むと、端正な顔を傾けて囁く。

「行くぞ」