シオンズアイズ

「私、困るわ!シオン様なんて呼ばれる身分じゃないのにそ」

話の途中なのに、シオンの後頭部に手を添えて素早く自分の胸に抱き寄せると、ファルは彼女の言葉を奪った。

それを見た人々は喜び、更に囃し立てた。

「お似合いです、ファル様ー!」

「ご婚約はいつですかー?!」

こ、こ、婚約!!!

クラリと目眩がした時、

「ファル」

近くで威厳のある声が響いた。

ダグダの側近が手を高く挙げて民衆に静観を求め、辺りに嘘のような静けさが広がる。

正面まで歩み寄った父王ダグダにファルは一礼すると、はっきりした声で告げた。

「申し訳ございません、父上。俺はシオンを愛してしまいました。七色の瞳の乙女としてシオンをリーリアス帝国の繁栄に役立てる事は出来ません」