シオンズアイズ

皆がファルに手を振ったり、胸の前で手を組み、祈るように見上げている。

「ファル、下ろしてっ」

ようやくファルがシオンに眼を向けた。

……っ!

切れ長の眼でジロリとシオンを一瞥すると、ファルはシオンの耳元で小さく囁いた。

「しっかり聞いてろ」

それからシオンを下ろすと、彼女の腰に片腕を回してグイッと抱き寄せた。

それを見た民衆は、歓声を上げて騒いだ。

「やはり七色の瞳の乙女だ!」

「シオン……シオン様ー!」

シ、シ、シ、シオン様!!

ちょ、ちょっと待って、冗談でしょ?!

シオンは慌ててファルに向き直り、目一杯背伸びをして、彼の耳に口を寄せようとした。