シオンズアイズ

くっ……!

ファルは眉を寄せ、喉にクッと力をいれた。

不安そうに瞳を揺らし、一心に自分を見上げるシオンが可愛らしく、口付けたい衝動を必死で抑えながら歩を進める。

どうすればいいか分からないといった風にしがみついてきたシオンに、ファルの決心は折れそうになる。

身体が芯から疼き、それに耐えようとファルは一瞬瞼を閉じた。

……いーや、すぐに許してなどやるものか。

ファルは、迎えに行った支度室の入り口で聞いてしまった香とシオンの会話が気に入らなかったのである。

……お前は一生、俺と一緒にいればいいんだ。

もう、『七色の瞳の乙女』じゃなくていい。

平和な世は、俺が必ず作ると約束しただろう!