シオンズアイズ

「しない」

「断ったの?!」

香が呆れたようにシオンを見つめた。

「あんた、異世界に来て脳ミソぶっ壊れたの?」

出たわ、久しぶりの毒舌が。

「ぶっ壊れてはないと思うんだけど……」

香はシラケた眼差しでシオンをチラッと見ると、メイクを続けた。

「付き合ってもないのに、何で急に結婚しなきゃなんないのよ。
平安貴族や戦国時代でもあるまいし。いや、明治でもありえるな」

……はあ……そう言われればそうですけど……。

何か言うと怒られそうな気がしたから黙っていると、香は息をついてから淡々と続けた。

「取り敢えず付き合ってみる」