「ああ」
「シオンと香はもうすぐ女中長のサリが迎えに来る筈だ。暫く待っていろ」
そう言いながらファルはシオンを見たが、彼女の固い表情に気付くと、静かに眼を伏せてマントを翻した。
一瞬流れた微妙な雰囲気を感じ取り、マーカスはシオンに視線を移したが、唇を引き結んで俯いている横顔に小さく息をついた。
空は陽が傾き始めて赤みが増し、城門前の大広場が一段と騒がしくなりつつあった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あー、さっぱりしたぁ!」
入浴を済ませた香は上気した顔をパチパチと叩きながら大きく息を吐き出した。
鏡の張られた立派な支度部屋に通された二人は、大理石のテーブルに着席して顔を見合わせた。
「ヤギミルクのお湯って、肌がツルツルになるわね」
香は化粧係の化粧を断り、自分で身体に香油を塗りながらシオンに話しかけた。
「シオンと香はもうすぐ女中長のサリが迎えに来る筈だ。暫く待っていろ」
そう言いながらファルはシオンを見たが、彼女の固い表情に気付くと、静かに眼を伏せてマントを翻した。
一瞬流れた微妙な雰囲気を感じ取り、マーカスはシオンに視線を移したが、唇を引き結んで俯いている横顔に小さく息をついた。
空は陽が傾き始めて赤みが増し、城門前の大広場が一段と騒がしくなりつつあった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あー、さっぱりしたぁ!」
入浴を済ませた香は上気した顔をパチパチと叩きながら大きく息を吐き出した。
鏡の張られた立派な支度部屋に通された二人は、大理石のテーブルに着席して顔を見合わせた。
「ヤギミルクのお湯って、肌がツルツルになるわね」
香は化粧係の化粧を断り、自分で身体に香油を塗りながらシオンに話しかけた。


