シオンズアイズ

「だって、私の重みで痛いし、辛いでしょう?硬い岩に持たれたままだし…」

「俺はかまわない」

「何で構わないの?」

「お前なんか重くない」

「だけど」

ファルはシオンの顔を掴んで自分の方に向けると、その瞳を覗き込んだ。

「だけど、なんなんだ」

金色の瞳が苛立たしげに瞬く。

シオンは、心臓が跳ね上がりそうになりながら言った。

「私がいた世界では、見知らぬ男女がこんな風に抱き合ったりしない。あなたはどう思ってるかわからないけど、私は男の人に、こんなにくっついてたら、恥ずかしいし…それに」

ファルはシオンをじっと見つめた。