シオンズアイズ

「神の……神の気まぐれで、こんな事が許されてたまるかっ!!」

シリウスが落ち着きなく辺りを見回す。

その視線は空をさ迷い、まるで見えない何かを探しているようで、ファルを始め、その場にいる全員が訝しげに眉を寄せた。

シリウスの瞳に狂気が浮かび、彼はうわ言のように呟いた。

「神は……どこだ。見ているんだろう?どこだ……?!どこから見てる?!」

これは……思い出したぞ!

オーディンはビクリと肩を震わせた。

これは、『遠魔眼』だ。

さては、ロキの仕業だな。

オーディンは以前にもこの眼を見たことがあった。

焦点が合わず、左右がバラバラに動き、真紫の膜に覆われたような瞳。