兵たちを思いやり、動揺や焦りを決してを見せず、一番派手な羽根飾りをつけて敵陣へと真っ先に斬り込み、皆の士気を高め続けるのだ。

マーカスは遠ざかる、未来の王を見つめて苦笑した。

人を惹き付けて離さない魅力は、やはり父王ダグダの血である。

仕方がない。

こういう男だから着いていこうと決めたんだ。

マーカスはファルの背に、これからも刻み続けるであろう黄金族人間の輝かしい未来を感じた。


◇◇◇◇

数時間後。

負傷兵を見舞い、伝令係に詳細を聞いてマーカスと戦法を話し合った後、ファルはひとりきりになった天幕の中でホッと息をついた。