シオンズアイズ

その様子を見たマーカスが、アルゴの顔を覗き込んだ。

「シオンなら、香に何かあったならお前に真っ先に言うはずだ」

アルゴがゆっくりとマーカスを見つめた。

「香は、何か考えがあってその場を離れたに違いない」

頭の良いマーカスの言葉は、アルゴの胸に渦巻く最悪の結末を、ゆるゆると溶かし始める。

香自ら。

だとしたら……シリウスか。

アルゴは大きく息を吸い込んだ。

連れ戻す、なんとしても!

その時である。

「ジュード、各隊長を労ってやれ。俺は負傷兵達を見舞ってくる」