シオンズアイズ

アルゴは眼を見開いて息を飲んだ。

馬が興奮し、後ろ足で立ち上がり嘶く。

おい、嘘だろ?!

オーディンに腕一本で抱かれ、青白い炎のような膜に包まれて、シオンは消えてしまった。

慌てて馬を降りて天幕に飛び込み、アルゴは香を探した。

「香っ!!」

すぐさま息絶えているカイルが眼に留まる。

香はいない。

「ちきしょうっ!!」

天幕を飛び出すと、アルゴは歯軋りして空を睨んだ。