シオンズアイズ

「何にも知らねーのに、願いなんか口にするんじゃねーよ。着いてこい!見せてやるから」

その時である。

「魔性っ!シオンを離せっ!さもなくば!」

馬の嘶きと共にアルゴの怒声が間近で響き、オーディンは舌打ちした。

魔性だと?無礼なヤツだぜ。

シオンはアルゴを見て早口で叫んだ。

「アルゴ、彼は最高神オーディンよ。私は大丈夫だから!」

「お喋りはもう終わりだ。行くぜ!」

「きゃあああ!」

「おい、待て、シオン!!」

シオンを引き寄せようとしたアルゴの手が叶わずに空を掴んだ。

な、なに?!