シオンズアイズ

◇◇◇

……シオン?

……なんだ……あの薄い青い炎の膜のようなものは。

アルゴはグッと眼を細めて、香とシオンの為に設置した小さな天幕の辺りを見つめた。

大きな青い膜に向かい、シオンが両手を胸の辺りで組んでいる。

何か話しているようだ。

嫌な予感がアルゴの胸を駆け抜けた。

ファルの軍とロー軍が、アーテス軍の第一軍と第二軍を突破し、サーガル川を渡ってアーテス帝国へと攻め入ったところで、ファルがアルゴに命じた。

「香とシオンの様子を見てきてくれ。代わりがなければそのまま折り返せ」

アルゴは頷きながら手綱をさばをくと馬の腹を蹴って、対岸へと急いだ。