シオンズアイズ

「何故、それを……」

シオンはその問いに答えず、眉を寄せた。

「前世で恋人だったんでしょ?」

……マーカスだ。

おそらくアルゴから聞き出し、シオンの良心につけこんで、せめて戦いが終わるまでは黄金族人間の元に留まらせようと考えたのだ。

香は、マーカスの冷静な眼差しと形のよい彫刻のような唇を思い浮かべた。

あの悪党。

「香、どうする?会いたいんでしょ?」

香は頷いた。

正直、会いたかった。

前世で深く愛し合っていたから。

けれどこの衝動を止めがたいのは、剣清(けんせい)が白金族人間の王として君臨する、非道なシリウスとなっていたからだ。