シオンズアイズ

ファルの力強い声が兵達の士気を高め、地響きがするほどの雄叫びが空気をも震わせた。

各隊長の笛が鳴り響き、怒号が辺りを震わす。

ジュードの報告によると、明け方、ダグダ軍がニア軍を率いて西側から攻撃を開始したらしい。

決戦の火蓋は、切って落とされたのだ。

「いよいよね」

天幕の中で待機しているシオンに、香が声をかけた。

「うん……」

香は確信していた。

シリウスは、きっとこちら側にいる。

何故なら、シオンの存在があるからだ。

「……シリウスに、会いたいの?」

香は身を震わせて立ち竦んだ。