シオンズアイズ

「もしかして、ピアスを?」

ファルは景色を眺めていて答えない。

こっちを見ないなら、好都合だ。

だって、ファルをじっくり見たい。

シオンは、遠くを見つめるファルを見上げた。

背が高い。

輪郭が良く、精悍な頬が好きだ。

男らしい澄んだ瞳も。

自分の腰に絡まる、逞しい腕が嬉しい。

照れ屋だけど優しくて潔く、俺様だけど友を大切にするファル。

やっぱり、私はこの人が好きだ。

ファルの腕に身を預け、顔を見上げていると不意に彼がこちらを向いた。

「……っ!」