シオンズアイズ

最初に出逢った時の小さな傷。

アイーダに咬まれた首。

シリウスに刺された足。

肩の傷。

これら全てが自分のせいに思えて、ファルは苦しかった。

シオンは固い声で答えた。

「……大丈夫。ありがとう」

本当は見つめたい。

その綺麗な瞳を。

その端正で男らしい顔を。

でも。

その時風が動いて爽やかな果実の香りがし、シオンは咄嗟に顔を上げた。

あ………。

徐々に遠くなるファルの背を見て、全身が急激に冷える。

シオンはそっと指を上げ、遠くなったファルの背に重ねた。

届かないと分かっていながら。