シオンズアイズ

シオンは頷いた。

「分かってるの」

「ひとつ言っとくけど」

香が大きく息を吸い込むと、ハッキリとした口調でシオンに告げた。

「『殺し合いなんてやめて』なんて言うんじゃないわよ?
……突然平和な国からやってきて、この世界の事をなんにも知らないクセに、無責任に自分の理想を押し付けるものじゃないわ。確かに殺し合うのは悲しいことだけどね」

シオンは息をのみ、答えられずに黙り込んだ。

香は続けた。

「だってそうでしょ?意味、分かるわよね?」

……香の言ってる事は理解できる。

「あ、そうそう『七色の瞳の乙女』ってさ、処女じゃなくなると力が無くなるのよね」

「え、そうなの?」

「愛してないなら……国の為に利用するだけなら、肌を重ねようとはしないはず。
……試してみれば?」

「なっ」

何をさらりと……。

「あのね、子供じゃないんだからさ。ファルが好きならそれでいいじゃん。王子様だし。愛があればあとはどうにでもなるわよ。でも、どうしても戦いが嫌、殺し合いが嫌なら、私達が去るしかないのよ」

「……若干、面倒臭そうなんだけど」

「とにかく、どうすんの?!あと一時間以内に決めなさいよね」

早口でそう言うと、香は踵を返した。