シオンズアイズ

「逃げるなら今よ」

いつの間にか近づいてきた香が、小さな声でシオンに言った。

「どうする?」

シオンは、キラキラと光る池の水面を見つめながら呟くように言った。

「分かんない」

「……ファルといたい?」

「好きだけど……彼は、好きじゃないのかも。私が『七色の瞳の乙女』だから、国に必要だから、そう見せかけてるだけかも知れないし。それに」

「それに?」

シオンは体ごと香に向き直った。

「ねえ、香は平気なの?この世界の人って、剣や弓で平気で人を殺してる。もし香なら、そういう人と恋人同士になれる?」

「なれるけど」